9月はじめ、一週間、チベットを旅してきた。まず上海経由で成都に行き、一泊して、翌朝早く南チベットの林芝に飛んだ。2700mの高原だ。太陽が眩しく、透き通る青い空に浮かぶ白雲、見渡す限り、周りの山々は深緑に包まれていた。この空港は、2006年に完成、雅魯蔵布江がそばを流れ、高い山に囲まれ、素晴らしい所だ。タラップを降りるや否や、みんなが腕を伸ばして、深呼吸していた。これは高原の空気が薄いためよりも、新鮮な空気を胸いっぱいに吸いたかったためと思う。ここは気分爽快な場所だ。
 迎えてくれた国勇さんが真っ白いハダを首に掛けてくれた。これがチベットの歓迎儀式だ。
 
 早速観光だ。林芝地区政府所在地の八一鎮(町)のホテルまで、途中の景勝地を見ながら行く。瀋陽製9人乗り金杯マークのワゴン車に乗り込むと、ガイドの馬さんが助手席で自己紹介をした。途中で雅魯蔵布江と尼洋河の江河合流地点を見た。最初に見る観光スポットだ。轟々と音を立てて流れる二つ流れがここで緩やかに合流して、はっきりと黄色の江水と青い色の河水が平行してながれるのを見ることができた。
 
 宿泊は三つ星の林芝賓館、清潔で感じのいいホテルだった。午後は宿から5kmの柏の王様を見に行った。この木はチベット原始宗教である教の始祖頓巴・興繞彌沃大師の手植えだとつたえられ、樹齢2500年の歴史的神木であり信仰のシンボルである。神木は胸のたかさで周囲13m、樹高50m。チベット仏教各宗派の信徒や観光客等1万人以上の人々が年間訪れている。
 
 翌日に、380km離れた然烏湖と、氷河の観光にワゴンで出発したが、途中の川蔵国道が増水した尼洋河に抉られて、不通になったため計画を中止し、魯朗林海というところから林芝に戻ることになった。ここは標高3700mの盆地、蔵民たちは牧場を経営して、黒牛をはなし飼いしている。国道沿いの渓流に手を入れるとしびれるほど冷たかった。
 
 帰途、一年前に開館した生物博物館に案内して貰った、ここは福建省の援助でできた全国三番目の生物博物館だ。内容は大変整っている。動物館には、猛獣の虎、豹、 熊、野生のヤク、サル、カモシカ、野生ロバ等142種類の野生哺乳動物、鳥類は488種、爬虫類56種、両棲類動物は45種、魚類は68種、昆虫は2307種が、標本、写真、説明板で紹介されている。植物館には林芝地区森林樹種のマツ、トウヒ、モミ、ツガ、コノテガカシワなどの標本が展示されている。ここで紹介されている野生薬用植物は、実に多い。一千種類以上あり、よく使われているのは400種、 有名な物として蔵紅花、雪蓮、冬虫夏草、貝母、胡黄蓮、大黄、三七草、党参、丹参、霊芝、鶏血藤があった。森林に覆われているので、その中に自生しているきのこが多い。マツタケ、ヤマブシタケ、キクラゲなど。展示を見て、ここは動植物の宝庫だと感じるにつけ、林芝地区八一鎮党委員会龍栄健書記が語った事を思い出す。「林芝地区は緑色食品の産地だ。北京に食品を沢山供給していて高い値段で、売っている」と。
 
 三日目、措松寺や巴松湖の見物に出かけた。措松寺で、チベット族の葬儀の一つ天葬の遺跡を見た。この寺は紅教なので、入り口の両側に、男性と女性生殖器のシンボルの彫刻が立っていた。内部はうす暗かったが、仏像の足もとは礼拝の場所になっている。賽銭箱にいろいろな国のお札が入っていた。