毎年春節が過ぎると中国は政治の季節を迎えます。先頃北京で開催された今年の「両会」は特に世界の注目を浴びました。中国では「中国人民政治協商会議(政協)」と「全国人民代表大会(人大)」を「両会」と言います。「両会」は国の方針を決する重要な会議です。今年の「全人代」で温家宝総理は世界的な金融危機が叫ばれる中、 困難を乗り越え「保八」(経済成長率8%の達成目標)を高らかに謳いあげ、世界の注目を集めました。この温総理の演説を巡って、世界の為替相場や株価が変動したりしましたが、これも中国経済が世界の金融市場をも揺り動かすだけの実力を備えた証でしょう。
北京中央での「両会」を前に、全国各地でも「両会」が開かれます。省・直轄市・自治区クラスで「両会」が開かれると、続いてその下のクラスの市・区・自治州・鎮などの行政単位でも開催されます。
中央の「両会」は良く他国での「衆参両院」や「上下両院」に例えられますが、省レベル以下の「両会」は、さしずめ「地方議会」にあたります。いずれも中国の特色ある政治組織の枠組みです。
さて、私は今年の2月11日から15日まで、「中国人民政治協商会議廣東省委員会 (廣東省政協)」の会議に列席し、初めて中国の「地方議会」を「体験」する機会を得ました。これは「廣東省政協」の外事華僑委員会の招きに応じ、「列席代表」という身分での参加でありました。
開会に先立つ2二月10日、私は成田から廣州行きの中国南方航空の便に乗り、同日午後廣州白雲国際空港に到着しました。飛行機がターミナルビルに横付けされ、出口の扉が開き、乗客が順番に降機するなか、私も飛行機から降りました。
驚かされたのは、キャビンから一歩出た瞬間、目の前に出迎えの係員が私の名前が書かれたプレートを持ち待ち構えていたのです。
そこからは通常の入国審査場へ向うブリッジ(渡り廊下)やターミナルビルの動く歩道は通らず、機体のすぐ脇からタラップを降り駐機場で待ち構えていた車に乗せられ、ターミナルビルの第一貴賓室に案内されました。
そしてパスポートを出迎えの担当係員に預け、第一貴賓室内の応接間に通されましたが、そこには既にもう一名の「列席代表」が座っていました。話を聞くと、その方は私の到着する少し前にバンコクから廣州に降り立ったタイの僑領でした。
応接間のソファーに腰掛け、しばしお茶を啜りながらその方と会話を交わしていると、入国印が押されたパスポートが返され、続いて成田でチェックインの際に預けた自分のトランクが目の前に運ばれてきました。
入国手続きの段取りが整ったところで、私は第一貴賓室玄関先に横付けされた黒塗りの「豊田王冠(トヨタクラウン)」に乗り、空港を後にしました。向かうは廣州市の中心部、解放北路に位置する「廣東迎賓館」、ここは我々の宿泊先であると同時に 「政協」会議の分科会の会場でもありました。
廣州に到着するやいなや、いきなり「国賓級」の厚遇を受け吃驚、言い換えるとこの 「政協」の会議に列席するということは、いかにそれが厳粛で且つまた重みのある大事なことであるかと言うことを物語っています。
私が「政協」の「列席代表」に選ばれたのは名誉なことで、とても誇らしく思いましたが、廣州空港での一幕はその責任の重さを実感させられるに十分すぎるものでした。
地方議会の議員に相当する正式な「政協委員」になると、様々な提案や議決の際の決議の権利を有しますが、我々「列席代表」は言わばオブザーバーの立場での参加でした。しかし、会議日程にあるすべての全体会議に出席し、分科会では各々が自由に発言する機会も得ました。
「政協」を構成する「委員」は、各分野の業界団体、民族党派、香港マカオ代表など中国共産党以外からも様々な方面の人員によって構成され、幅広い意見が反映されるように組織されています。元来、「廣東省政協」では厳然と「華僑枠」の正式委員が存在していましたが、文革以降においてその界別は凍結され、未だに復活していないのが現状です。
今回、「廣東省政協」では世界21ヵ国から22名の華僑華人を「列席代表」として招きました。この「列席代表」の人選も実に多彩で、中国国内に巨額の投資がある華商もいれば、貿易業を営む者、海外で活躍する地質学者から、弁護士や会計士、教育界や新聞出版界で活躍する人などさまざま。まさしく多士済済な顔ぶれが揃っていました。その中にあって「廣東同郷会副会長」の肩書きこそあれ、一介のサラリーマンの身分での参加は私だけでした。
改革開放の30年を経た今日、多くの華僑のふるさとである廣東省において、今回 「廣東省政協」が海外僑胞の「列席代表」を招いたのは、海外華僑の生の声を廣東省の更なる発展に反映させていこうという意気込みの表れでしょう。「廣東省政協」外事華僑委員会では、今後「政協」のなかで「華僑枠」の界別復活に向けた努力を、積極的に推し進めていくものと思われます。
海外において居住国の国籍に帰化していない限り、居住国の政治に関わることが出来なかった華僑にとって、「政協」の華僑界別が復活した暁には、居住国においては叶わない「参政議政」(政治に参加し、政治を論議する)する権利を得ることが出来るようになります。
そもそも華僑は海外に居住する中国の公民として《中華人民共和国憲法》に定めるところにより、選挙権被選挙権が賦与されています。将来、華僑が祖国の国づくりに直接参与できる日が来るやもしれません。
世界経済が混沌とする中、鈍化したとは言え「保八」の高い経済成長目標を掲げて前進して行く中国は今年建国60周年を迎えます。多くの困難を抱えながらも成長を続ける中国のこれからに期待を寄せると同時に、華僑華人としてこれからも色々なかたちで関わりを持ち続けて行きたいものです。
中央の「両会」は良く他国での「衆参両院」や「上下両院」に例えられますが、省レベル以下の「両会」は、さしずめ「地方議会」にあたります。いずれも中国の特色ある政治組織の枠組みです。
さて、私は今年の2月11日から15日まで、「中国人民政治協商会議廣東省委員会 (廣東省政協)」の会議に列席し、初めて中国の「地方議会」を「体験」する機会を得ました。これは「廣東省政協」の外事華僑委員会の招きに応じ、「列席代表」という身分での参加でありました。
開会に先立つ2二月10日、私は成田から廣州行きの中国南方航空の便に乗り、同日午後廣州白雲国際空港に到着しました。飛行機がターミナルビルに横付けされ、出口の扉が開き、乗客が順番に降機するなか、私も飛行機から降りました。
驚かされたのは、キャビンから一歩出た瞬間、目の前に出迎えの係員が私の名前が書かれたプレートを持ち待ち構えていたのです。
そこからは通常の入国審査場へ向うブリッジ(渡り廊下)やターミナルビルの動く歩道は通らず、機体のすぐ脇からタラップを降り駐機場で待ち構えていた車に乗せられ、ターミナルビルの第一貴賓室に案内されました。
そしてパスポートを出迎えの担当係員に預け、第一貴賓室内の応接間に通されましたが、そこには既にもう一名の「列席代表」が座っていました。話を聞くと、その方は私の到着する少し前にバンコクから廣州に降り立ったタイの僑領でした。
応接間のソファーに腰掛け、しばしお茶を啜りながらその方と会話を交わしていると、入国印が押されたパスポートが返され、続いて成田でチェックインの際に預けた自分のトランクが目の前に運ばれてきました。
入国手続きの段取りが整ったところで、私は第一貴賓室玄関先に横付けされた黒塗りの「豊田王冠(トヨタクラウン)」に乗り、空港を後にしました。向かうは廣州市の中心部、解放北路に位置する「廣東迎賓館」、ここは我々の宿泊先であると同時に 「政協」会議の分科会の会場でもありました。
廣州に到着するやいなや、いきなり「国賓級」の厚遇を受け吃驚、言い換えるとこの 「政協」の会議に列席するということは、いかにそれが厳粛で且つまた重みのある大事なことであるかと言うことを物語っています。
私が「政協」の「列席代表」に選ばれたのは名誉なことで、とても誇らしく思いましたが、廣州空港での一幕はその責任の重さを実感させられるに十分すぎるものでした。
地方議会の議員に相当する正式な「政協委員」になると、様々な提案や議決の際の決議の権利を有しますが、我々「列席代表」は言わばオブザーバーの立場での参加でした。しかし、会議日程にあるすべての全体会議に出席し、分科会では各々が自由に発言する機会も得ました。
「政協」を構成する「委員」は、各分野の業界団体、民族党派、香港マカオ代表など中国共産党以外からも様々な方面の人員によって構成され、幅広い意見が反映されるように組織されています。元来、「廣東省政協」では厳然と「華僑枠」の正式委員が存在していましたが、文革以降においてその界別は凍結され、未だに復活していないのが現状です。
今回、「廣東省政協」では世界21ヵ国から22名の華僑華人を「列席代表」として招きました。この「列席代表」の人選も実に多彩で、中国国内に巨額の投資がある華商もいれば、貿易業を営む者、海外で活躍する地質学者から、弁護士や会計士、教育界や新聞出版界で活躍する人などさまざま。まさしく多士済済な顔ぶれが揃っていました。その中にあって「廣東同郷会副会長」の肩書きこそあれ、一介のサラリーマンの身分での参加は私だけでした。
改革開放の30年を経た今日、多くの華僑のふるさとである廣東省において、今回 「廣東省政協」が海外僑胞の「列席代表」を招いたのは、海外華僑の生の声を廣東省の更なる発展に反映させていこうという意気込みの表れでしょう。「廣東省政協」外事華僑委員会では、今後「政協」のなかで「華僑枠」の界別復活に向けた努力を、積極的に推し進めていくものと思われます。
海外において居住国の国籍に帰化していない限り、居住国の政治に関わることが出来なかった華僑にとって、「政協」の華僑界別が復活した暁には、居住国においては叶わない「参政議政」(政治に参加し、政治を論議する)する権利を得ることが出来るようになります。
そもそも華僑は海外に居住する中国の公民として《中華人民共和国憲法》に定めるところにより、選挙権被選挙権が賦与されています。将来、華僑が祖国の国づくりに直接参与できる日が来るやもしれません。
世界経済が混沌とする中、鈍化したとは言え「保八」の高い経済成長目標を掲げて前進して行く中国は今年建国60周年を迎えます。多くの困難を抱えながらも成長を続ける中国のこれからに期待を寄せると同時に、華僑華人としてこれからも色々なかたちで関わりを持ち続けて行きたいものです。