社会福祉法人積慶園の機関誌「積慶園便り」(令和2年夏季号)に京都華僑総会楊正武会長の中国料理奉仕活動について掲載がありましたので、本紙にて記事の本文を掲載いたします。
 積慶園に、初めて調理奉仕に寄せていただいたのは、1982年10月12日で、その年の6月に調理奉仕活動を始めて5回目のことでした。第一回目は、仮園舎で大雨の中で調理したことも、今では懐かしい思い出となっています。新型コロナウイルスコロナ禍で非常事態宣言が出ている中、5月14日に寄せていただいき積慶園だけで76回(通算1259回)を数えることができ、多くの子ども達に喜んでいただけることを感謝しています。

 三十八年間続けてきた児童養護施設における調理奉仕活動で、訪ねた各施設の子ども達は、親の身勝手で一緒に生活出来ずに、施設に来ている子ども達もいると聞きました。親が自分達の人生を優先するばかりで、少しは子どもの為にも我慢することが必要だと思います。子どもを育てるということは、親から子へ、子から孫へと続きます。親のためにも自分のためにも、子は孫を立派に育てる責任があると私は思います。子どもの教育は、親の生き方が手本で、親の背中を見て育つものだと私は二人の子ども達に教えてきました。又、人生は苦しい時、楽しい時は半分半分で人生八十年とすれば、四十年楽しく、四十年苦しい、ならば若い時の四十年苦しみを味わい、老いの四十年を楽しく過ごした方が良いのではとも教えてきました。お蔭様で私の長男は二十二年前から、店を手伝い調理奉仕活動にも参加してくれています。ありがたくこの活動に感謝しています。

 関西地区二府四県、四国地区四県、中国地区五県、中部地区八県(富山県、新潟県を除く)、長崎県、佐賀県の児童養護施設二十五ヶ所でも中国料理をプレゼントすることも出来、そして多くの子ども達の笑顔を沢山いただくことが出来ました。

 毎年三月の京都府下五施設・京都市内十二施設の児童福祉施設の中学卒業生を招待し、開催している「中学卒業を祝い、中国料理を楽しむ会」も今年で無事二十五回目を数えることが出来ました。中国料理のフルコースを円卓で囲み、子ども達が新生活の抱負などを語らいながらひと時を楽しんでいる姿を見ていると、必ず幸せ多い人生を送っていただきたいと思うばかりです。次の三年生が料理の内容などを聞き、来春を楽しみに待っていると聞きます。店がある限り「中学卒業を祝い、中国料理を楽しむ会」は続けていきたいと思っています。

 積慶園の名前の由来は、中国の古書『易経』にある「積善の家には必ず余慶あり」という言葉から採られたそうです。この言葉は(善行を積み重ねた家には、その身だけでなく必ず子孫にまで及ぶ福沢がある)と言われています。私の一番大好きな言葉です。その反対の言葉は「積不善の家には必ず余殃有り」と言われ(不善の行いを積み重ねた家には、その身だけでなく必ず子孫にまで及ぶ災禍がある)と言われています。後者にならないように肝に銘じて、日々研鑽を積んでゆきたいと思っております。

 私は、今年後期高齢者の仲間入りをします。身体が続く限り中国料理の調理奉仕活動を通して、子ども達の笑顔と成長を願い、そして少しでも世の中に明るい話題が提供できるよう努力していきたいと、思っております。
 
 人の喜びを自分の幸せとし、人の幸せを自分の喜びと出来る人生を歩みたいと思います。


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